本作は、「矢野俊策、F.E.A.R.、KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス The 3rd Edition」の二次創作物です。

杜屋街もりやがい

 日本には京都に存在し、中国や欧米、様々な場所にポータルを出現させているレネゲイドビーイング達が生活を営む街。其処にはオーヴァードに目覚めた人間やジャムと化した存在も居を構え、混沌としながらも異界の中で唯一と言える程の、生存可能な拠点に相応しい異界の街。それが杜屋街なのだ。その中心に居るレネゲイドビーイング達は街と言われるその継ぎ接ぎの巨躯の頂上にて、街を見下ろし続けているのです。

 杜屋街は外見は幾つもの和風家屋があべこべに組み重なり、街と言うよりも塔に近い印象を持たせる巨大な建造物です。近頃では異界に住む他所のレネゲイドビーイングを取り込む事で、一部には現代的な外観や洋風の建物も散見され、最早様相は一種の芸術性すら感じる程です。

 しかし、注目すべき点は其処に住まうのは所謂異界にのみ存在する者達ではなく、数は多くはない物の、人の居住区としても十二分に機能している点でしょう。人が異界に触れ、オーヴァードとして変じる中、人間社会に溶け込めない存在や、異界へ居を構えた方が都合の良い人物なども多く存在しました。そんな彼等を杜屋街は受け入れ、招き入れるのです。

 本来、異界に対し拠点と言った集落は必要ありません。それは力の強いジャームはレネゲイドビーイングであれば、自らの望む空間を作り出し、書き換えてしまうが故であり、そもそも住居を必要としない点にありました。しかし、杜屋街を作り出したレネゲイドビーイングである『蛭子命』はあくまで自身としての領域だけではなく、様々な存在へとその門戸を開きました。それは彼が日本神話において、忘れ去られた神であるが故なのか、彼が忘れ去られながらも日本神話における神の長兄である優しさなのかは定かではありません。しかし、自分の領域を持てぬ中途半端なジャームや他者との邂逅を欲すレネゲイドビーイング、そして半端物ながら異界へと流れついた人。そんな彼等にとっての受け皿であり、杜屋街は多種が集う異界の街としての地位を確立したのでした。

 現在では、レネゲイドビーイング達や人間の代表が集う『異種議会』によって都市運営が成されており、現代で興った異界に関する組織との不可侵条約を基本的には結んでいます。勿論、全てとは言えませんが、『賢者の石』と加工する技術や、その他呪法に関する研究の場には充分過ぎる程であり、所謂、妖怪、神格、異形、人間達の犇めく街では、喧騒といざこざの中で彼等独特の日常が繰り広げられているのです。

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